もつ鍋百科

モツ(ホルモン系)料理の種類

モツ料理は主に鍋以外には『煮込み料理』として扱われる事が日本国内だけに限らず、世界各国で確認されています。

そしてその料理のほとんどがその国での一般的な大衆料理や郷土の伝統料理として扱われています。

日本国内では下町料理としての『モツ煮込み』や焼き肉や酒の席ではお馴染みの『ホルモン焼き』『焼き鳥』『レバ刺し』等も広い意味でのモツ・ホルモン料理です。

 

世界各国で見るとアジアでは、韓国のコプチャンチョンゴルと呼ばれるモツ鍋に、内臓湯『ネジャンタン』と呼ばれるモツスープ、ベトナムの麺料理『フォー』の具材に使われる事もあります。

欧米諸国では南アメリカの胃を野菜や香草のスープにした『モンドンゴ』、ソーセージで有名なドイツの『レバーソーセージ』や各種内臓を使った料理が多彩で、フランスの牛の胃袋を具材にしたソーセージ『アンドゥイユ』と『アンドゥイエット』牛の胃袋を煮込んだ『カーン風モツ煮』等が挙げられます。

イタリアでは特に内臓料理が豊富で、脳のフライやシチュー、腸の煮込みから心臓や血管から各種内臓をベースにしたソースやサンドイッチの具材に使われたりするものも有名です。

また畜産副産物という形で見れば『タンシチュー』もこれらに入ります。

 

この様にアジア圏だけでなく、欧米諸国でもモツ・ホルモン料理は文化として地域に根付いており、その調理方法もその国柄によって様々なものがある事が解ります。

基本的にはどれも内臓は「煮込み料理」として扱われており、レバー等の味が濃厚な物ほど焼き物として調理される事が多数見受けられます。

モツ(ホルモン系)の部位の種類

ホルモンとモツは同じものとして扱われていますが、そもそもは別々の意味を指して呼ばれている言葉です。

関東と関西で呼び名が違うという説明をされる事もありますが(ホルモン=放るもん 関西での呼び名 モツ=関東での呼び名)、もともとの意味では、ホルモンとは牛や豚の腸を指し、モツとは臓物という意味で腸以外の心臓や肺などと言った部位を指します。

ただし一般的なモツ鍋と呼ばれるものにはこの分類は曖昧となっており、正確にはホルモンである腸が主な具材を占める場合がほとんどです。

 

そしてそれぞれの部位には各名称や地方によって呼び方が違うものも存在しています。

食べ物としてのホルモンで有名なのは小腸、関西で言うところの『テッチャン』、腸の部位である『ホルモン(コテッチャン)』、モツでは第1胃袋の『ミノ』、心臓の『ハツ(関西ではココロ)』、第2胃袋の『ハチノス』、第3胃袋の『センマイ』、第4胃袋の『ギアラ(赤センマイ)』、横隔膜の『ハラミ』、肝臓の『レバー』と言った部位が焼肉ではお馴染みとして皆さんにも知られている部位と言ったところでしょうか?

これらの部位は「日本畜産物副産物協会」では『畜産副産物』として取り扱われ、舌の部位である『タン』やアキレス腱である『スジ』と言った臓物ではない部位も同じく畜産副産物として同じくカテゴライズされています。

 

以上の事からモツとホルモンは現在では同一視される事が多いのですが、種類も多く地域によっては呼び名も部位ごとのカテゴリも様々なので呼び方が簡略されて行ったのではないかと考えさせられます。

これも各地で多くの人に愛され食されるが故の顛末なのかもしれません。

ホルモンの栄養素

ここで言うホルモンは腸や内蔵すべてを含む言葉として扱います。

これらに含まれている栄養素の多くはビタミンA、B群や鉄分ミネラルが主となっています。

 

一般的な内臓肉は腐敗が早く、保存性が悪い為に長らく食用としては考えられず廃棄物として扱われていました。

肉食系の狩猟動物は以上の理由で捕獲した獲物は内臓から食べる習慣がついていると言うのが一般的な認識だと思います。

 

もちろんそれも理由の一つではあるのですが、そもそもは生きる為に必要な栄養素が内臓には備わっている事と、その栄養素が損なわれない為に内臓を食し必要な栄養素を摂取していると考えられています。

この狩猟動物の習性からも解る通り、内臓には生命に必要な栄養素が多く含まれている事が解ります。

 

また、近年の健康美容ブームでコラーゲンが多く含まれており肌の張りを保つ為にはホルモン料理が良いとされていますが、これは正確にはコラーゲンを摂取した際の胃腸の消化活動でコラーゲンがしっかり体内に行き渡っているのかどうかがまだ判明されていない為に、そう信じられていると言った方が正しいと思われます。

また、内臓肉にはプリン体が多く含まれている事からカニやビール等と言ったものと同等に痛風になりやすい食べ物の一つと言えるでしょう。

 

内蔵系の食べ物には食べ物と同じ部位、心臓なら心臓の正常な機能に必要な栄養素を多く含むと信じられていますが、このように未だ判明されていない部分や多量の摂取は却って体内に変調を来すと言った問題点も存在します。